年末にシトラリのエピソードPV彼女の色が公開され、元日に ver.5.3 に更新して、謎煙の部族見聞でもあるシトラリの伝説任務のストーリームービーキミの色を覚えても追うって公開される流れとなっています。この2つのタイトルから「色」繋がりになっていることが分かります。今回はこの2本の動画について考察して行きます。
『彼女の色』の少女とウィツィリンの関係
謎煙の部族見聞はウィツィリンの伝説でもありました。話を進めている途中、ふっと彼女の色の巨大なタイトル回収になっていることに気づきました。ウィツィリンはその弟子たちと違って、シトラリの試練を簡単に諦めずに続けていたようです。『彼女の色』の少女と同じです。もし、ウィツィリン = 彼女 という等式が成立するのであれば、話が綺麗に纏まると思いました。
ところが、テイワットの物語はそう簡単ではありませんでした。物語では登場人物の数を最小限になるように役割を被らせる傾向になる「最小構成の法則」が良く外れます。両方とも老いた姿が映し出されてましたが、異なっていました。『彼女の色』の少女は黒髪だったのが白髪になりましたが、ウィツィリンはずっと金髪でした。

ストーリーではウィツィリンの姿が一切登場せず、音声のみだったのが、このキミの色を覚えての直前でやっと違う人と分かる流れとなっています。その最後の最後でやっと違う人物と分かるわけです。
ともかく、『彼女の色』の少女とウィツィリンは、無関係となります。
「彼女の色」は誰の色
『彼女の色』が公開されたときから、この「彼女」ってのが誰なのかが気になってました。
① 登場する少女
② シトラリ
③ 蛍ん
蛍んでプレイしている関係で、実は候補が3つも挙げられてしまいます。ただ、空くんの場合を考えると、これは無いとすぐに除外できます。「彼女」は3人称のため、普通に考えたら物語に登場する少女となります。『彼女の色』全体はシトラリを中心に描かれており、シトラリから見た人間関係の構図となっています。
しかし、引っかかったのが最後に見るこの壁画です。単に青い小鳥だけなら、彼女 = 物語に登場した少女のことで、パステルシアンという回答になることでしょう。しかし、ここにパステルピンクの小鳥を登場させています。頭のリングからもシトラリ鳥で間違いありません。その色もバッチリとシトラリカラーです。このピンクこそが「彼女の色」という発想が一瞬過ります。

そこで空くんが登場します。この時に思ったのは、『彼女の色』というのはストーリーの名前であり、これが空くんの目に映るシトラリであり、「彼女の色」では?

そして締めも、サムネもこの絵面です。これがシトラリカラーであり、すなわち「彼女の色」ではありませんか。

少なくとも、このエピソード PV で私たちの目に焼き付けたいのは、この可愛いパステルピンクのはずです。
「キミの色」は誰の色
同様に、キミの色を覚えてのキミは誰のことかも考える余地があります。今度こそ、正真正銘の3択となります。「キミ」ってのは男女にも使えますから。
① ウィツィリン
② シトラリン
③ ホタルン / ソラクン
これも誰視点の話かで答えが変わります。ウィツィリン視点でも旅人視点でも簡単で、シトラリの一択となります。しかし、シトラリ視点では少しややこしくて、ウィツィリンと旅人の両方がありえます。念のため、シトラリから両方の呼び方をチェックしましたが、両方とも「キミ」と呼んでいました。ここは日本語特有の二人称で呼び分ける造りにはなっていませんでした。
もちろん中国語でも英語でも二人称なんって限られているから日本語のような芸当はできませんが、今までの原神翻訳班の偉業の数々を鑑みると、訳し分けることぐらい容易いことでしょう。それをしてないということは、これは考えさせるために意図的に揃えているように思えます。
セリフのタイミング
この「キミの色」は『キミの色を覚えて』の中に登場します。『キミの色を覚えて』が終わった直後のセリフも重要なので、前後を含めたホタル版を上げておきます。
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我らは時の中を羽ばたく鳥…
…記憶の花畑の中で、一緒に旅をしてくれる「色」を探す
あの世界に行っても、鮮やかな羽に染まった空が見れますように
あの世界の緑が、冒険を愛する魂を受け入れますように
あの世界の青が、遠方に憧れる帆を支えますように
火山も忘れちゃいけない 危険を孕んではいるけど 大地に贈り物をくれる
そして、ラクガキも
これがないと 夜の色は単調になってしまうから
最後は?
── 最後は、やっぱりあたしの色も覚えてほしいな
それから、キミの色も 覚えてほしい
つまるところ、ウォーベンを染める方法ってコトよね
シトラリに託したいのは、染め方だけじゃない
さよなら、友よ
「色」を記憶に留めることが 選ばれた人の本当の使命でしょ?
── そうすれば 彼らは紙と文字の砂丘に埋もれずに済む
よく分かってるじゃない
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順番に見て行きます。まずシトラリが「我らは」で始まり、途中からウィツィリンの声が重なてきます。その次はウィツィリンの声だけで進みます。
「最後は?」とシトラリがが聞くと、
「やっぱりあたしの色も覚えてほしいな」とウィツィリンが答える。
その瞬間、ウィツィリンのウォーベンがウィツィリンの色に染まっていきます。

ここで画面が変わり、シトラリが「それから、キミの色も 覚えてほしい」と続く・・・

画面が更に変わり、
シトラリが「つまるところ、ウォーベンを染める方法ってコトよね」と聞くと、
ウィツィリンから「シトラリに託したいのは、染め方だけじゃない」と応える・・・

そこで旅人が本当の答えを口にします。
「色」を記憶に留めることが 選ばれた人の本当の使命でしょ?
── そうすれば 彼らは紙と文字の砂丘に埋もれずに済む
ストーリームービーがここで終わりますが、テイワットではシトラリが答え合わせをします。
「よく分かってるじゃない。」
祝詞
祝詞に関して、どこまでが祝詞かも考えましたが、結局、どこまでがどのウォーベンの祝詞かと考えた方が良いことに気づきます。ヒントは途中で旅人のウォーベンの他に、ウィツィリンのウォーベンも登場しています。ウィツィリンのウォーベンは旅人が来る前に既に飾られていて、ウィツィリン自体が 200 年も前の人なので、とうの昔に創られたものと考えられます。要は、旅人のウォーベンと一緒に創られたものでもなければ、その場にあるものでもありません。シトラリの記憶にあるものです。
よって、「我らは時の中を羽ばたく鳥…」から「 ── 最後は、やっぱりあたしの色も覚えてほしいな」までが、ウィツィリンのウォーベンを創る際の祝詞と考えられます。その過程でシトラリの声にウィツィリンの声がは重なったり、ウィツィリンの声で進行したり、ウィツィリンと対話したりするのも、「色」を記憶に留めることで「色」を思い出しながらウォーベンを染めて行く工程と考えられます。
冒頭の「我ら」はウォーベンを描く人と、描かれる人の両方となります。シトラリがウィツィリンのウォーベンを染めるために、ウィツィリンに問いかけます。ウィツィリンが想い描いた世界をウォーベンに描き、ウィツィリンの色でウォーベンを染める。
これに対し、旅人のウォーベンに対し唱えた「それから、キミの色も 覚えてほしい」だけが、旅人ウォーベンの祝詞と考えられます。もちろん「我らは時の中を羽ばたく鳥…」から唱えていたかもしれませんが、ムービーでは略されています。ただ、ウィツィリンが秘術をシトラリに伝授する際は、また別の祝詞でしたので、恐らく旅人ウォーベンでまた別の祝詞が唱えられていると思われます。
あの世に行っても夕日の暖かさを感じられるように、「歴史」をオレンジ色で染めよう・・・
あの世に行っても実りの季節を楽しめるように、「歴史」をグレインの実の模様で飾ろう

「キミの色も 覚えてほしい」
では、この「キミの色」は誰の色か。このセリフはシトラリが旅人ウォーベンを作る際の祝詞と考えられるため、自ずとシトラリと旅人の二択となります。自分自身を「キミ」と呼ばないでしょうから、旅人の可能性が高いと思われます。ただ、旅人説では「覚えて欲しい」がシトラリ自身に言い聞かせる解釈になるため、ウォーベンに言い聞かせて染まって欲しい意味と解釈する必要がありそうです。もしくは、ウィツィリンの祝詞「あたしの色も覚えてほしい」の捩りとも考えられます。
恐らくですが、祝詞の構造は、ウォーベンを作る術者とウォーベンに描く対象を時の流れに連れ込み、ウォーベンに描きたい景色を描いていきます。最後に、描く対象の色に染めて行きます。ウィツィリンのウォーベンではウィツィリンが言う「あたしの色」に染めあげていき、旅人のウォーベンではシトラリが言う「キミの色」に覚えさせていきます。
まとめ
あくまでも1つの解釈ですが、『彼女の色』の「彼女」がシトラリで、『キミの色を覚えて』の「キミ」は旅人と考えられます。すると、この2本で、旅人の目に映るシトラリと、シトラリの目に映る旅人という、見事な対比を成すようになります。
つまるところ、シトラリが心を開いたのは旅人であり、旅人にもこのシトラリに心を開いて欲しいということとなります。

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編集履歴
2025/01/08 初版


